中年もっくんの投資と闘病の話

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GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の基本ポートフォリオは一般投資家に役に立つの?

こんにちは、中年もっくんです。

 

アベノミクス以降、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、株式の配分を上げて、リスクを取る運用に変わってきています。その基本ポートフォリオは、何人もの有名な経済学者が議論しシミュレーションを繰り返して決定されたものだそうです。そんな優秀であろうGPIFの基本ポートフォリオですから、「一般の投資家もそれを真似たら利益が上がるんじゃないか?」というのは素朴な疑問ですよね。今回はそんなGPIFの基本ポートフォリオについて考察してみました。

 

 

GPIFとは

GPIF(Government Pension Investment Fund)とは年金積立金管理運用独立行政法人のことで、日本において厚生年金と国民年金の年金積立金約150兆円を管理・運用する世界最大の投資機関で、2006年4月1日に設立されました(前身の年金資金運用基金の設立は2001年4月1日)。世界第2位のGPF-G(ノルウェー政府年金基金)の運用資産は2018年3月末で110兆円、米国最大の公的年金基金である CalPERS(カリフォルニア州職員退職年金基金)の運用資産は37兆円、CPPIB(カナダ年金制度投資委員会)の運用資産は29兆円ですので、GPIFの資産規模はダントツ1位です。GPIFは厚生労働省が所管する独立行政法人で、年金給付の財源として年金運用で得た収益を国庫に納めています。市場運用開始以来(2001年度~2018年度第3四半期)、2008年のリーマンショックの時期を含めても、平均収益率は年率2.73%、累積収益額は56.7兆円となっています。

 

GPIFの基本ポートフォリオですが、2013年6月6日までは下図のように、国内債券がメイン(67%)でした。国民の年金積立金ですので、絶対に損できないという意味では、国内債券がメインというポートフォリオは合理的だと思います。

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GPIFは、金融経済の専門家らで構成する運用委員会で2013年4月から審議を開始。「2012年末までのデータに基づいて検証した結果、基本ポートフォリオの変更が必要と判断した」(GPIFの清水時彦調査室長)とし、2013年6月7日以降は、下図のポートフォリオに変更されました。

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さらにGPIFの基本ポートフォリオは、国債の利回り低下を背景に、株式の配分を増加させ、2014年10月31日に下図のように変更されました。「デフレから脱却し、緩やかなインフレと経済成長が見込めるようになった」「全額国債で運用していたら1%の金利上昇で10兆円の評価損が出る。適度なインフレ状態で経済成長が続けば株価の上昇も見込める。」というのが当時のGPIF三谷理事長の談でした。

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日本国債の金利の推移

下図は財務省のHPで発表されている過去の日本国債の金利情報(昭和49年(1974年)~)です。

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中年もっくんが子供の頃は日本国債の金利は10%もありました。平成2年(1990年)の9月頃も金利が高くて8.5%を超えていました(1989年に2.5%だった公定歩合が翌年には6.0%に引き上げられました、バブルを警戒したためです)。この金利だと複利10年の運用で資産が倍になります。この頃の郵便貯金も、通常貯金で3.48%、3年以上の定額貯金は6.33%という高金利でした。この時代は、日本国債や定額貯金で資産を保有していれば、リスク無しで、資産がどんどん増える、夢のような話ですね。

GPIFの前身である年金資金運用基金が設立された2001年4月の国債の金利は10年物で1.315%、GPIFが設立された2006年4月の国債の金利は10年物で1.826%、30年物で2.313%でした。30年の複利で資産倍増ですね。

現在はマイナス金利の時代であり、ゆうちょ銀行の金利も通常貯金で0.001%、3年以上の定額貯金でも0.01%です。

 

GPIFの基本ポートフォリオについて

国内債券、国内株式、外国債券、外国株式でアセットアロケーションを組むのはもっとも一般的で、自分が確定拠出年金に加入した際も、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式の4つでポートフォリオを作り、基本的に各25%、個人のリスク許容度によって分配割合を変えることを推奨されました。

これからは中年もっくんの個人的な考えになります。GPIFに対して意見するものではありませんので、あしからず。さて、GPIFの基本ポートフォリオで気になることが二点あります。国内債券と国内株式についてです。

1.国内債券を組み込む必要があるのか?

現在の日本国債はマイナス金利です。個人向け国債では0.05%(年率)の最低金利保証がありますが、とても魅力的な金利とは言えません。S&Pの格付けはA+で、悪くは無いですが、他の先進国に比べて見劣りします。

一方、米国債ですが、10年物で年利2.5%ぐらい、S&P格付けはAA+です(2011年8月までは最上位のAAAでした)。一般的には信用度が高い国債は低金利です。にもかかわらず、米国債は金利が高く信用度も高いです。日本国債は低金利で信用度もそんなに高くない。日本国債と米国債は真逆です(日本国債はマズい、米国債はウマい)。

このような状況で日本国債をポートフォリオに入れるのが正しいのでしょうか?米国債だと為替リスクがありますが、長期投資ならば、よほどの異常時に売買しなければ問題無いように思えます。ですので、日本国債をポートフォリオに入れるなら、その分を米国債に変えた方がいいと思います。 

2.国内株式への投資は長期的にみて大丈夫か?

現在の官製相場はいつまで続くのでしょうか?少し前のデータですが、日銀は2018年12月11日、通常のETFと「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」のETFを買い入れ、年初からの買い入れ額は計6兆678億円に達したと発表しました(2018年の買い入れ総額は6兆5000億円に達しています)。東京証券取引所の投資部門別売買動向(東証、名証2市場の合計)によると、2018年11月までに外国人は4兆5989億円と年間売越額がブラックマンデーの1987年以来の大きさとなっており、個人も3364億円売り越し。買い越しは事業法人の2兆3014億円、信託銀行9089億円、投資信託8959億円にとどまり、日銀の購入額は突出しています。

米中央銀行のFRBは2014年12月に最後の金融緩和QE3を終了して2016年末から徐々に利上げを開始して現在では金利水準は先進国で最大の水準となっています。欧州の中央銀行であるECBは金融緩和に終止符を打つ動きを徐々に強めてきています。日銀はいつまで緩和を続けるのでしょうか?もし日銀が金融緩和策の出口戦略として保有するETFの売りに動けば、間違えなく株価は暴落するでしょう。

そのような状況下で国内株式を25%もポートフォリオに組み入れることは危険ではないでしょうか。よく知られていることですが、S&P500は2000年のITバブル崩壊と2008年のリーマンショックという金融危機を乗り越え、現在も順調に右肩上がり、過去30年の運用成績は9.89%です。資産は国内株式から米国株式に移動させるべきだと思います。

 

個人のポートフォリオはどうあるべきか

ここまでGPIFの基本ポートフォリオを見てきましたが、個人向けのポートフォリオを考えるなら、より国内債券と国内株式を米国債と米国株へシフトするべきだと考えます。FANGブームは一時の勢いは無くなってきています。米国経済のリセッション(景気後退)もささやかれています。自分もここ数年で米国経済が落ち込む可能性は高いと思います。しかし、景気の落ち込みから必ず回復することは、過去の歴史が証明しています。自分は長期での米国経済の成長と米国発のイノベーションにベットするつもりです。

 

ではでは。

 

 

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